42歳、正社員から週4日勤務の派遣社員へ。収入よりも「自分の時間」を選んだ理由

今回お話を聞いたのは、派遣社員として働きながら、SNSでの発信活動に挑戦している42歳の女性です。

20年以上、正社員として事務職を続けてきましたが、Xで見かけた「やりたくないことをやっている時間はない」という言葉に心を動かされ、働き方を変えることを決意。現在は週4日勤務の派遣社員として働きながら、40代からの生き方や働き方について発信しています。

なぜ長年続けた正社員を辞めたのか。収入や将来への不安はなかったのか。そして、42歳になった今、人生をどう感じているのか。お話を聞きました。

【阿部杏子さん(仮名)のプロフィール】

年齢:42歳/職業:派遣社員/埼玉県在住
※プライバシー保護のため、仮名で掲載しています。

「やりたくないこと」を続けない生き方

※イメージ画像です

――現在のお仕事と、普段どんなふうに働いているのか教えてください。

今は不動産会社で派遣の事務をやっています。働き始めてちょうど半年が経って、ようやく仕事のペースも掴めてきたところですね。条件は「週4日・1日7時間勤務」。残業もゼロなので、毎日定時にサクッと帰れてます。もちろん社会保険もついてますし、すごく理想的なペースで働けてますね。

――半年前に派遣になられたわけですが、それ以前はどういうお仕事を?

高校卒業してから20年以上、正社員として働いてきました。でも2回ほど転職してて。高校を出てすぐアパレルの販売員になって、28歳で金融会社の事務に転職しました。で、35歳でIT企業の一般事務になって……という感じで、ずっと正社員を続けてきたんです。

――アパレルから事務、さらにIT業界へと挑戦されてきたんですね。きっかけは何だったんですか?

アパレルの接客も楽しかったんですけど、20代後半になって「これからはパソコンが使えないとマズいな」って焦ったのが最初です。当時はキーボードすらまともに打てなかったんですけど、必死に練習してブラインドタッチまでできるようになりました。35歳でIT企業に移ったのはシンプルで、「これからは絶対にITでしょ!」と思ったから(笑)。元々新しいことに飛び込むのは好きなタイプなんです。

――そんな正社員キャリアから一転して、40代で派遣になられた理由は?

たまたまXで「人生は意外と短い。やりたくないことをやってる時間はない」っていう言葉を見かけたのがきっかけです。それがめちゃくちゃ心に刺さっちゃって。

正直、正社員の事務の仕事には何のやりがいも感じてなかったんですよ。毎日PCの前でカタカタ書類作ったりデータ入力したり……ただそれだけ。「私、何のためにこれやってるんだろう」って、本当につまらなかった。元々仕事も新しいことも好きだったから、死ぬまで夢中になれるような「自分の手で作る仕事」がしたくなったんです。子供を産んでいない分、何か自分の手で作品とか価値を作り上げてみたいっていう気持ちもありました。

ーーそこからSNSでの発信活動につながったわけですね。

そうなんです。本当はお金がたくさんあればカフェとか飲食店をやってみたかったんですよ。でもそんな資金はないじゃないですか。だから「資金ゼロ・在庫ゼロ」で始められて、失敗しても何度でもやり直せるSNS発信を選びました。

ただ、当然最初から稼げるわけないですよね。SNSで結果を出すには時間をかけなきゃいけないのに、正社員だと残業もあるし時間がない。だから「時間に融通が利く働き方に変えよう」と思ったんです。時給を比べたらアルバイトより派遣の方が高かったので、週4日勤務の派遣に決めました。

――現在は副業でSNS運用をされているとのことですが、どんな発信を?

40代からの生き方とか、働き方を変えてみたリアルな試行錯誤を発信してます。始めて半年の今はまだ収益ゼロなんですけど、そんな簡単に稼げるものじゃないと思ってるので焦りはないですね。それよりも「目標に向かって挑戦してる」っていう感覚だけで、毎日の充実感が以前とは段違いです。これが軌道に乗ったら、将来は副業を本業にしたいですね。

――長年続けた正社員を辞めることに、迷いはありませんでしたか?

まあ、安定を捨てる怖さがなかったと言えば嘘になるのかなと思います。でも、それ以上に「このままやりたくもない事務作業をダラダラ続けて人生終わるのかな…」と思う方が嫌だったんですよね。自分の人生だから、後悔したくなかったんです。

――お金の面では、辞める前にどんな準備をしましたか?

「最悪失敗しても痛くない方法にする」っていうのが一番の準備でしたね。だからこそ初期費用ゼロのSNSに絞りましたし、「派遣で週4日働けば、最低限の生活費と社会保険料はクリアできるな」っていう計算だけはしっかりしておきました。

――家族や友人には、どう伝えましたか? 反応はどうでしたか?

「やりたいことができたから、ちょっと働き方変えるね~」って気楽に話しました。特に止められることもなくて、「あなたらしいね」「体に気をつけて頑張って!」ってあっさり応援してくれましたね。自分の中で気持ちが決まっていたので、周りにどう言われてもブレなかったと思います。

ーー実際に派遣で仕事を探してみて、正社員のときと比べてどうでしたか?

自分で正社員の就活をするより、断然ラクで驚きました! 3件に応募して1件通過して、職場見学に行ったらすぐ採用が決まったんです。

あと、面接でプライベートなことを全然聞かれないのがすごく嬉しくて。正社員の面接だと、昔から「結婚の予定は?」とか「子供は?」とか根掘り葉掘り聞かれて違和感があったんです。でも派遣会社も派遣先も、聞いてくるのはスキルや経験だけ。社名すら聞かれない。時代が変わったのかもしれませんけど、一人の働き手として見てもらえてる気がしてホッとしましたね。

正社員を辞めて、手に入れたもの

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――今の職場の人間関係や働きやすさはどうですか?

すごく自分に合ってます! 職場には他にも派遣の人がいますけど、お互いのプライベートに深く踏み込んでこない適度な距離感があって、本当に気がラクです。無駄な社内政治とか人間関係にエネルギーを使わなくて済むのは最高ですね。

――ただ、正社員を離れて「将来のお金や働き方の先行き」に対する不安はありませんか?

うーん、将来の不安で夜も眠れない…みたいなのは全くないですね(笑)。一応、つみたてNISAで少額をコツコツ積み立てるみたいな現実的な備えはしてますけど。

それよりも、正社員の頃みたいに「やりたくもない仕事を惰性で続けて時間だけが過ぎていく」という状態から抜け出せたことの方がずっと大きいです。

今は週4勤務でしっかり時間を確保して、「自分の手で稼げる手段を育てている」っていう実感があるので、将来に対してもすごく前向きになれていますね。まあ、あと20年近くもありますし、「なんとかなるでしょ!」っていうノリで楽しくやってます!

――派遣になって収入や暮らしの満足度はどう変わりましたか?

月々の収入自体は正社員時代より当然下がりましたよ。無駄遣いは減らしましたし、外食も控えめになりました。でも、それ以上に「自分の時間」が一気に増えたので、生活の満足度は今の方が圧倒的に高いです。お金の安定より、時間の自由の方が今の私にはずっと豊かなんですよね。

――雇い止めのリスクなど、派遣ならではの不安もあると思うのですが、後悔はありませんか?

後悔は1ミリもしていません! もし私が60歳になったときに振り返って「あー、あのとき挑戦して楽しかったな!」と思えるのは、絶対に今の道なんです。もしダメになっても、そのときにまた次の手を考えればいいやと思ってます。

――週4日勤務になって、休日の過ごし方はどう変わりましたか?

平日の休みはもちろん、土日も含めて休みはほとんどSNS作業に充ててます! 投稿を作ったり、勉強したり、リサーチしたり。帰宅後にクタクタで何もできなかった正社員時代と違って、朝から頭が冴えた状態で作業に没頭できるのが本当に最高ですね。休む暇がないくらいずっと作業してますけど、誰かにやらされてるわけじゃないので全然苦にならないですし、毎日すごく充実してます!

40代からの挑戦を楽しむ

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――40代になって、生き方や価値観で一番変わったところはどこですか?

「世間の目」を気にしなくなったことですね。昔は「正社員でいなきゃダメ」とか「安定が一番」っていう思い込みに縛られてました。でも40代になって、「他人の目を気にしてやりたくないことを我慢する方が人生の損だな」って完全に吹っ切れました。

――正社員として働いていた頃の自分に声をかけるとしたら、なんて言いますか?

「毎日PCの前で死んだ魚の目をして作業してないで、早くこっち来なよ! 自分の人生生きるの、めちゃくちゃ楽しいよ!」って言いたいですね(笑)

――最後に、42歳の今、人生は面白いですか?

今は目標があるので、その目標に向かって走ってるって感じがすごく楽しいし面白いなって思います。これからどうなるか分からないですが、逆にワクワク感もありますね。


20年以上続けてきた正社員の働き方を変え、派遣社員として働きながらSNS発信に挑戦している阿部さん。

収入が減ることや将来への不安がありながらも、自分が納得できる生き方を選び、新しい目標に向かって歩み始めました。

「今からでは遅い」と決めつけず、自分がやりたいことに挑戦してみる。阿部さんのお話からは、40代からでも自分らしい人生を切り開いていくことの楽しさが伝わってきました。

-インタビュー